

6月に入ると京都の和菓子屋で一斉に売られ始めるものがある。それが「水無月」だ。
ういろうの上に小豆がのったシンプルな和菓子なのだが、今の京都では熊本のくまモンや大阪のミャクミャクレベル――は言い過ぎかもしれないが――で水無月にぶち当たる。映えが重視されている時代に、このちょっと垢抜けない和菓子が町中を席巻している様を見ると、いかに京都の人々に大切にされているのかがわかる。
私が初めて水無月を口にしたのは3年前ほど前。正直な感想は「おいしいけど積極的に食べたいわけではない」だった。とにかくめちゃくちゃ素朴で、ういろうと小豆ならこういう味になるだろうな、という予想を全く外さない。清々しいほどの直球ど真ん中。あんみつとか水まんじゅうとかの方が食べたい。
それなのに毎年懲りずに買ってしまうのが不思議である。今年ももちろん買った。お腹にたまるしケーキなんかと比べれば(たぶん)ヘルシーだから、おやつとしては高得点だろう。
もっちりとしたういろうの下まで黒文字を入れて一口。うんうん、毎年同じほんのりとしたういろうの甘さに小豆がマッチして――いや、違う。心の底から思う、これおいしいぞ!
去年と同じ店の買ってはずなのになんで?製法変えた?いよいよ私にも京都人の血が流れ始めたのだろうか、住み始めてもう10年になるもんな。加齢による味覚の変化からは目をそらしたい。
なんにせよおいしいと思えるものがこの世にまた1つ増えたことは大変喜ばしい。
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