すべてはタイミング

絵日記

聞いたことはないだろうか、胃腸機能のピーク時に財力が間に合わないという嘆きを。若いころの胃袋はさながらブラックホールのようにあらゆるものを飲み込むのに、財布はそれに見合うような食事を用意させてくれない。

働いて働いて働いて。ようやく財布にわずかな余裕が出てきたころには、胃腸はかつての面影を失っている。何を食べるにもまず頭に浮かぶのは「完食できるかどうか」。テーブルに所狭しと並べられる焼肉も、太陽に届かんとばかりに空に伸びるパフェも、手が届くのに触れられない。

何事も適したタイミングというものがあり、それを逃すと拗らせて執着が強くなると思っている。私にとってその最たるものが、クリスマスが近づくと並ぶ、赤いブーツに入ったお菓子の詰め合わせなのだ。

何度ねだっても「サンタさんからのプレゼントはいらないの?」と買ってもらえぬまま大人になった今、当時の思いが加わって毎年ほしくてたまらなくなる。もちろん買える。30代も後半になれば、いくら安月給だとしても、2,000円程度のお菓子の詰め合わせくらい買える。

でも私が欲しいのは子どものころに売っていたあのブーツなのだ。ベルベットのような触り心地で真っ赤、何のイラストもなく、履き口が白いファーで飾られているブーツ。最近のスーパーでは紙製のばかりで、同じようなものは全く見かけない。

もう買えないのかな。そして私は毎年クリスマスが近づくたびに、買ってもらえなかったことを思い出し続けるんだろうか。いい加減成仏させてあげたい。

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