白米大好き人間なので、自然とそれ以外の炭水化物をとる機会があまりない。ただパンだけは割と頻繁に口にする。京都はパン屋が多い。消費量は日本一、とする調査もあるくらいで老舗のチェーン店から個人経営の店まで選り取り見取り。情報誌でもパン特集が組まれる機会は多いし、目につく頻度が高いと胃も求めるようになるのかもしれない。
特にお目当てのものがあるわけではなかったので「SIZUYA」を訪問。「SIZUYA」と「進々堂」は京都のいたるところで目にするご当地パンチェーンの二大巨頭。京都市民の間で派閥間の争いとかはたぶんない。外から来た人間から見ると「SIZUYA」の方がカジュアルな印象。「進々堂」は店構えがなんというかクラシカル。
何にしようかと物色していると目に飛び込んできたのは「ご当地パン」の文字
とにかく「限定」という言葉に弱い私。説明文には京都のパン組合が共通の商品をつくろう、とのことでできた商品とある。それならばとお買い上げ。
見た目は完全に細長いカレーパン。中にはソーセージが1本、たぶん魚肉ソーセージだと思われる。生地も黄色い。食べてみると、ほのかなカレー味。カレー風味の生地に包まれた魚肉ソーセージ入り揚げパン。なんともシンプル。確かにびっくりするほどおいしい、とか意外な組み合わせで謎の中毒になる、とかは一切ないが、長く残っていくものというのは結局こういうものなのかもしれない。揚げたてだったのか衣がザクザクしていてそれもまた好印象。やっぱり揚げ物はできたてが1番。そして牛乳が飲みたくなる。買わなかったことをめちゃくちゃ後悔した。
共通の商品をつくろう、との名目でできたのだから、他の店にもあるのかと調べてみるとなんだか異なる歴史があるらしい。京都にはその昔「西湖堂製パン」という非常に有名な会社があり、最盛期には「バード」という名前のパン屋を66店舗もチェーン展開していた。ここで売られていたパンが「ニューバード」。しかしながら会社は倒産。西湖堂製パンは工場で生地を生成し、それを冷凍して各店舗へと配送していた。店舗のオーブンで焼くことで出来立てのパンを提供できる。これがあだとなり、 西湖堂製パンから生地を仕入れていた店舗のほとんどが廃業を余儀なくされた。1からパンを作る技術を教えてもらっていた店舗のみ存続し、名前を変えながら現在も営業を続けている。
パン組合によって各店舗で共通の商品が作られたのか、「バード」で売られていたパンなのか、本当のところはもうわからないらしい。このニューバード、名前や材料等に少々違いはあれど老舗のパン屋では扱っているところも多いとのこと。京都の小さな歴史に触れるニューバードめぐり、楽しいかもしれない。
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