
職場には読書家がいて、たまに本を貸してもらう。その人から先日半ば押し付けるように貸してもらった本がある。村田沙耶香さんの『地球星人』だ。
村田沙耶香さんと言えば第155回芥川賞を受賞した『コンビニ人間』が一番有名かと思う。子供のころから「普通」ではなかった主人公の女性は、36歳になっても正規雇用で働かず、学生時代に始めたコンビニのバイトを続けている。自らをコンビニ店員として相応しい姿にチューニングすることで、なんとか「普通」の人として見られるように腐心している。そんな主人公が働くコンビニに、とある男性がアルバイトとして入ってきたことから、その生活が変わり始める――というストーリー。
『コンビニ人間』はおもしろかった。私も言われたことなら(一応)ちゃんとやれる人間なので、主人公の気持ちや境遇に理解できるところも多かった。本当に「普通」ってなんなんだろうな。
一方の『地球星人』だがこれは色々とんでもない。この前に同じ作者の『消滅世界』『しろいろの街の、その骨の体温の』を読んでいたので、村田沙耶香さんの作風はそれなりに理解していた。書きたいことはわかる。言いたいことも理解できる。ただなんというか……描写といい展開といいすべてがえげつない。
本を貸してくれた同僚も「この何とも言えない気持ちを共有したい」から貸してくれたそうだが、なんてことしてくれたんだ。でもわかる。1人でこのモヤモヤというかムカムカというか、胸につっかえている感覚を抱えていたくない。
かくして本は次の生贄の元へと旅立っていったのでした。映画『リング』で松嶋菜々子が父親にビデオを見せた気持ちが今ならよくわかる。
『地球星人』も『コンビニ人間』も他の作品も、「普通」や「常識」をひっくり返して、本当はいると知っている、でもみんな見ないふりをしているキモチワルイ虫を見せるのが村田さんの作品の特徴だと思っている。『コンビニ人間』は読みやすいし入門編としておすすめ。私が好きなのは『しろいろの街の、その骨の体温の』。『地球星人』はグロテスク表現と性暴力の描写がダメな人は手に取らない方が良いと思う。
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